アルガンオイルについて

アルガンオイルって?

アルガンオイルは、1995年頃より日本に輸入され始めた、「高濃度のオレイン酸とビタミンEを含有する、北アフリカ・モロッコ王国でしか産出されない、という貴重な天然オイル」です。
モロッコの南西部のみに生育するアルガンツリーの実から採れた貴重なオイルです。
その優れた「肌の保湿性と肌の活性化の働き」により、「美容に」、また極上の香ばしい香りにより、「料理に」と広く利用されています。

オリーブオイルの数倍のビタミンE、その他オレイン酸、リノール酸などを豊富に含んでいます。顔、髪、全身に使用でき、高いアンチエイジング効果が期待できる万能オイルです。

アルガンオイルの秘密

アルガンの樹の実

アルガンの樹は、地中7メートル以上深く根を伸ばし、丸1年以上雨が降らなくても枯れないといわれます。この脅威の生命力が人々の健康に取って欠くことのできない栄養分を提供しています。
このオイルを採取するのには大変な労力を必要とします。アルガンの実の中心となる仁核(じんかく)を非常に硬い種の中から割り出して、すり潰してようやく1~2%ほどの油分を袖出できるのです。
この作業にはモロッコの貧しい女性たちが従事し、数少ない収入源として期待され、女性自立の象徴とされています。また、非常な生命力を持つこの樹を植樹して、砂漠の緑化にも役立てようというプロジェクトも進行しています。

アルガンの仁核を取り出すモロッコ女性

健康と美容

そして「メタボリック・シンドローム対策」という国民の新たな健康指標の導入により、「健康と美容」が快適な日常生活のキーワードとして、ますます広範な国民の関心を呼んでおります。中でも、より美容に関心を持つ女性にとって、特別な思いがある「お肌」のケア。
例えば「美白」ブームは今もずっと続いておりますが、これはその明らかな証明と申すことができるでしょう。

アルガンオイルの効果

アルガンオイルの効果

アルガンの純粋なオイルを摺り込むと、サラサラでしっとりしたお肌にしてくれます。疲れた皮膚がたちまちのうちに元気になり呼吸を復活するかのようです。
手の甲に、ほんの一滴乗せて満遍なく摺り広げていくと、みずみずしい潤いが浸透していきます。アルガンオイルは前述したように、極めて貴重な農産物なのです。
従って、価格も高くなりがちですが、それだけの価値は充分にあるオイルです。 

アルガンオイルでヘルシー料理

アルガンオイル料理

アルガンオイルは前述したように、極めて貴重な農産物です。従って、価格も高くなりがちですが、それだけの価値は充分にあるオイルです。
まずはサラダ。サラダの素材に、一人分ティースプーン1杯くらいのオイルを掛けまわして、他には何もかけずに戴きます。

肉料理にも、デザートにも、揚げ物にもアルガンオイル

肉料理には刷毛を使って、全体に満遍なく塗りつけ焼き上げます。オーブンからおいしそうな香りがして、つややかな料理に仕上がります。
デザートとしては、アイスクリームに1~2滴トッピングしても美味ですし、一手間掛けるなら、お好みの果物にアルガンオイルを隙間無く塗ってオーブンで焼き上げると、素晴らしい味と香りのお菓子になります。
アルガンオイルを、フライなどを揚げるのにもお使いいただけます。

当協会の監事、外山厚子の書籍をご紹介いたします。

「世界を識る~エキゾチックモロッコ」書影

「世界を識る~エキゾチックモロッコ」
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今ブームの迷宮都市、イスラム、ベルベル…
異文化の王国の魅力を余すところなく紹介します。

アルガンの木とアルガンオイル

 アルガンの木は、モロッコの南西部、アガディール、エッサウィーラ、タルーダントなどオート・アトラスの東山麓にだけ生息するモロッコ特有の木で、乾燥した土地に疎林を作っている。赤茶けた土地にオリーブに似た葉を茂らせた木がまばらに生えているだけだが、不思議なことにこの木の枝にヤギが登っていることがある。大きな木になると、さして太くもない枝に何頭ものヤギがよじ登り、どうやら木の実を食べているようだ。あまりのおいしさに、ヤギがわざわざ木に登ってまで実を食べるというアルガンの木とは、いったいどんな木なのだろうか? 

 学名をアルガニア・スピノザ(Argania Spinosa)といい、アカテツ科に属するこの木は、成長は遅いが高温や乾燥など厳しい気候の中でも育ち、大きな木は高さ8~10メートルにも達する。世界でも珍しいこの木の実から採れるオイルは、ビタミンEなど抗酸化成分が豊富に含まれ、ベルベル人の間では昔から、料理に使われたり、スキンケア(ときには薬用として)やヘアケアにも用いられてきた。

 アルガンの木の実は緑色で、オリーブの実によく似ている。オリーブの場合は、果実をそのまますりつぶし得られた果汁から油を分離するが、アルガンの場合はもっと手がかかる。オイルがとれるのは実の種の中にある仁の部分。アルガンの実を食べたヤギが排泄した種を集めたり(!)、あるいは実を乾燥させて中の種を取り出し、それを割って白っぽい胚を取り出す。それを石臼でひいたり(伝統的製法)、最近ではプレスマシンを使って圧搾することによって油を抽出することができる。100キロの果実から採取できるオイルは、わずか1リットル。とても貴重なオイルなのだ。

 食用にも、美容にも用いられるこのオイル、見た目はオリーブオイルと似ているが、やや茶色味を帯びていて、ごま油のような香ばしい香りがする。搾油する前の実の状態で炒ったローストタイプ(若干色が濃い)と、なにもしないナチュラルなノンローストタイプがあり、おもにローストタイプは食用に、比較的あっさりしたノンローストタイプは美容に用いられる。

 皮膚の炎症や傷口に塗るなど、昔から薬用としても用いられてきたアルガンオイルは、主として女性たちが家事の合間にオイルづくりを行ってきた。今では商品価値が認められ、アルガンの木の生育する地域ではアルガンオイルを作ることによって生計を立てている農家も多い。そんな農家の人々は、乾燥した南部の強い日差しを浴びているはずなのに、肌がつやつや。アルガンオイルのパワーの恩恵であろう。ところでアルガンオイルはモロッコの人々が誰でも日常に使っているかというと、そうでもない。モロッコの限定された地域で、しかも、少量しか採れない産地限定オイルなので、「ベルベルの人々が伝統的に使っている非常に効能の優れたオイル」ということは知られているが、モロッコ国内でもそうそう手に入るものでもない。アガディールやエッサウィーラに旅行に出かけたときにおみやげにすると、モロッコの人々(とくに女性)にもとても喜ばれる。

 このようにどちらかというとモロッコ国内でもマイナーなアルガンオイルだが、近年、欧米の料理業界、美容業界で注目を集めている。アルガンオイルには、悪玉コレステロールを抑制するオレイン酸、体内で作ることのできない必須脂肪酸のひとつで代謝を高めるリノール酸、老化防止・若返りの効果があるといわれるビタミンEなど、健康によいとされる天然成分が豊富に含まれているからである。優れた保湿力で乾燥を防ぐ、肌を活性化し肌質を改善する、抗酸化作用(老化防止)に優れ紫外線に対しても強い肌を作る、などなど、健康・美容の面で注目されるアルガンオイル。いつまでも美しく、若々しくいたい、という世の女性(&男性)の飽くなき欲望に応えるべく、日夜奇跡の物質を追い求める美容業界にとっては垂涎の素材なのである。ヨーロッパではその効果を科学的に実証するために、アルガンオイルについて詳しい研究が進められ、ヨーロッパ経由で伝えられた「若返りオイル」は日本の美容業界でも知る人ぞ知る存在になっている。

 また料理分野でも、2001年にイタリアでスローフード大賞を受賞して以来認知度が高まり、ヨーロッパの有名シェフたちにも使われている。使い方はオリーブオイルとほぼ同じで、サラダのドレッシングに使うもよし、炒め物の香り付けに使うもよし。玉子料理との相性もよい。バニラアイスにそのままかけてナッツの香ばしい味を楽しむこともできる。

 アルガンの木は暑さや乾燥に強く、地中40メートルまで伸びた根から水分を吸いあげ、7年間雨が降らなくても枯れない、非常に生命力の強い木だ。乾燥した土地で土壌の侵食を防ぎ、砂漠化を遅らせる働きもしている。実からオイルを採るだけでなく、幹や枝は農具や木炭に、オイルを絞った後の搾りかすは家畜の飼料にと、昔からエコな使い方をされてきたアルガンの木だが、最近は経済的な問題から燃料利用などのためにむやみに伐採が行われたために、一時は絶滅の危機に瀕していた。そのため今では、80万ヘクタールほどのアルガンの林は国有林として保護されるようになったほか、砂漠化を防ぐ地球環境資源としてユネスコからは生物圏保護区に指定され、モロッコは国家をあげてその保護と資源の活用に乗り出している。

 その活動の主体となっているのが「コーオペラティブ」といわれる協同組合だ。この協同組合は現地のモロッコ女性だけで構成され、アルガンオイルの生産技術の向上や品質管理に尽力しているだけでなく、女性の雇用創出と社会的地位の向上を推進している。女性の教育水準や識字率が低く、女性が職を持つ機会が少ないモロッコ(とくに南部の農村部)では、画期的な存在だ。グローバルな自由化や民主化の流れを受けてモロッコの農村部では、こうした協同組合をはじめとするNGOや市民団体の活動が急激に増えてきている。従来は、欧米諸国に本部を置く国際NGOがモロッコの地域開発にかかわる活動の中心的役割を果たしていたが、最近ではモロッコ人自身によって設立されたNGOの活動も目立ってきており、アルガンオイルの生産協同組合もそうしたNGOのひとつだ。協同組合では、女性の地位向上、所得創出活動支援のため、識字教育や会計・経営知識の講習も実施している。また、アルガンの林を守るための植林事業なども行っている。

 モロッコ女性の社会的な地位の向上、経済的自立については、最近世界的にも注目されているマイクロクレジット融資がモロッコでも普及してきている。マイクロクレジット融資は、最貧困層を対象とした無担保での少額融資のことで、それを元手に収入創出活動を行うことを支援する。1970年代半ば、バングラデシュで経済学者のムハマド・ユヌス博士によって考案されたこの貧困削減プログラムは、世界各地の農村の貧困女性たちを対象に確実に成果をあげている。90年代初頭からモロッコでもNGOによるマイクロクレジット融資が始まり、現在では国家の貧困削減政策のひとつとしてマイクロクレジット融資が推進されている。担保となる財産をもたず、識字能力もなく、多くの子供や家庭問題を抱えていた女性が、マイクロクレジット融資を受けて、絨毯や伝統的な刺繍作品を製作することなどによって収入を確保し、また融資を確実に返済することによって(マイクロクレジットの返済率はほぼ100パーセントに近い)、経済的に自立し、自分自身に対する大きな誇りや自信を持つようになる例は実に多い。

 強靭な生命力から「鉄の木」とも呼ばれるアルガンの木。伝統を守りつつ、近代的な手法も取り入れてしたたかに生き延びようとするモロッコ女性。エコやロハス、スローフード、スローライフ、「サステイナブル(持続可能な)」といったキーワードがもてはやされる現代の世界にあって、アルガンオイルをめぐる一連の活動はまさにそうしたトレンドと合致しているように思われる。モロッコが世界に誇るアルガンの木が、便利な生活を安易に求める人々の打算に利用されることなく、これからも乾燥した大地に豊かに葉を茂らせ続けることを願ってやまない。

「世界を識る~エキゾチックモロッコ」より一部抜粋

お問い合わせ先

日本アルガンオイル協会事務局
☎ 03-3461-0712
東京都渋谷区桜丘町24-4東武富士ビル 日本緑茶センター
Mail info@japanarganoil.org